くたべ(くたべ)
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妖火 くたべ(くたべ) 妖火

 江戸末期に越中(富山)に現れた人面牛体で、腹部の両横にも眼があったと伝えられる。
 くたべは山に登ってくる人に対して「四、五年以内に原因不明の難病が流行り、多くの死者が出るであろうが、わたしの姿を見た物か、あるいはわたしの姿を絵に描き取り家に貼っておけば、その難を回避出來るだろう」と告げたと言う。

 容姿やこの逸話から、白澤と異名同妖であると思われ、くたべが越中に現れたことと関係してか、白澤は漢方薬の守護神とされ、一部で信仰の対象になっている。

 また同時期に発行された瓦版にはスカベと言う、「紅い腰巻きを着けた全身真黒な老婆で、四つん這いになり鼻を摘んでオナラをする」というモノが現れたという。明らかにくたべと空かしっ屁の語呂合わせであるが、江戸の両国や広小路で見せ物になっていたという記録も残っているらしいから驚きだ。

(文責:カメヤマ)

・ 参考文献:日本妖怪大全,カラー草紙 妖怪・土俗神
・ 属性:
・ 出現地区:中部地方,富山県
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2000.7.21 22:43