濡女(ぬれおんな)
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妖火 濡女(ぬれおんな) 妖火

 昔、越後(新潟県)と会津(福島県)の境を成していた川に出たらしい。その姿は人面蛇体、口は裂け、歯はギザギザで、其処から蛇のような二股の舌を覗かせ、全身水浸しであると言う。
 文政二年(1819)、村の若者が柳行李を作るため、この川の両岸の堤に立ち並ぶ柳の枝降ろしを舟から行っていた。川の流れが急で何艘かは川下の三叉になっているところまで流されてしまう。ふとみると、ひとけのない寂しい所で女が髪を洗っている。若者らが舟を近づけると‥‥。
 この村の古老の話によると濡女の尻尾は三町(約327m)まで届くため、見つかったら最後、逃げても必ず巻き取られてしまうということだ。

 濡女は、ぬれおなご、ぬれよめじょ、ぬれめとも呼ばれている。また、海(主に漁村)に出ると言われる磯女と同一視されることもあるが、磯女の特徴である「血を吸う」という特徴は見られない。

(文責:カメヤマ)

・ 参考文献:画図百鬼夜行,日本妖怪大全
・ 属性:海,川
・ 出現地区:中国地方,鳥取県
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2000.7.21 22:43